マラソン ランニング

大転子ランニング

みやすのんき著の「大転子ランニングで走れマンガ家53歳でもサブスリー」を購入した。マンガ家という不健康なイメージと53歳というマラソンにハンデを感じるワードとサブスリーの組み合わせ。何とも興味を唆られるタイトルだ。大転子が何だかもわからないが、これまでも事あるごとにランニングの書を買い漁っていた身としては、ついつい手を出したくなる悪魔の如き囁きのようだ。実は然程期待はしていなかったのだが、途中まで読んだ感じでは、これまでとは違う何かヒントになるかもしれないと思っている。

先ず最初の分析は「肩甲骨と骨盤は同じ方向に開く」というもの。肩甲骨は腕の動きを、骨盤は脚の動きを連想するため、この定義だと「手と足が一緒に出して歩くようなもの」を想像する。自分なりに頭で整理するために、この原理をスキーのショートターンに置き換えてみた(僕の場合、体の動きを考える時はスキーに置き換えることが多いのだ)。ショートターンは短く鋭いエッジングでスピードをコントロールする技術だ。例えば左ターンなら主に右足荷重(右の骨盤が前)なのだが、その時ほぼ同時に右腕でストックを突くので肩甲骨も右側が前に出るイメージだ。この原理だとすると、スキーのエッジングはランニングでいうと着地となるはず。着地時とは足が前に出ているのではなく体の重心の真下にある時だ。また右足が着地しているということは、逆足は一瞬宙に浮いていて、次の着地のために前に出る(左が前、右足は後ろに)タイミングとなる。つまり体の真下から後ろになる時にその骨盤が前に出るということだ。そうなると、手と足を一緒に出して歩くこととは違ってくる。これが意識出来たから速く走れるかは別として新しい感覚ではある。

 

次は腕の振りに関して。よく坂道や後半などスピードが落ちて来た時には腕を大きく振ってスピードを上げるということを聞く。本書はここも否定している。確かに冷静に考えてみれば、腕を振ったからと言って足が勝手に動くとは思えない。何故なら腕の筋肉で足をコントロールしている訳ではないからだ。では何故腕を振るのか?短距離などスピード競技選手の腕の振りが大きのは何故なのか?アフリカ系のトップ女子マラソン選手たちの腕の振りが意外と小さいのは何故なのか?先ずは、腕の振りは体の振動制御というのが先ず役割との解説だ。両手を伸ばして手を体の真横につけたまま歩いてみると歩きにくいことは想像できるだろう。その歩きにくい原因とは、頭を含めた上体、つまり骨盤から上の部分、が左右に揺れてしまうからだ(歩く程度なら体全体に無駄な力を入れれば、上体の振動は制御できるが、疲れる)。足を動かす影響で左右にブレる体を、腕を振ることで制御するバランサーの役目となる。体を大きく動かせば(=速く走れば)それだ揺れは大きくなるため、腕の振りもそれだけ、大きくなってくる。マラソン女子選手の腕の振りの小ささだが、これはよく見ると腕の引きはしっかりしている。腕を前後に振るのではなく、コンパクトに振ることで速いリズムを取っているのだ。

 

次に面白いのが、骨盤の角度について。これもランニング書に多いのだが、骨盤を立てて(前傾させて)走ってみようという項目があるのだが、どうやったら骨盤が立つのかは書いていないのだが、ここではお腹を膨らますだけとシンプルだけ。これは立った状態でやってみれば直ぐに体感できる。お腹を凹ませば骨盤は後傾し、お腹をプクリと出せば骨盤は前傾する。骨盤が前傾すれば足を出す(ここでは大転子を動かす)ことが楽になるということだ。

 

本書にこのような記述がある。

「ランニングの基本は、右の上肢帯と右側の大転子が一緒に前に出る。左の上肢帯と左側の大転子が一緒に前に出る。この左右の軸が交互に前に出ることによって前進する。腰椎を中心とする体幹はひねらない。ねじれるのは地面と大転子」

推進力は腕ではなく、骨盤から下の動きと同調する上肢の動きで生まれる。骨盤と肩甲骨の動きが対角は嘘。対角にすると体全体を常に捻りながら走ることになる。

 

まずは試せるところから試してみようと思う。